過疎問題を考える8

(ひかり115号R3.11.1)

亡き人をご縁としてお寺に足を向けていただける工夫を!

過疎対応支援員として教区内のたくさんの寺院を訪問させていただいておりますが、最近過疎地、都市部に共通して住職方から「墓じまい」の相談件数が増加しているとの話題になることが多いです。
 京阪神や関東などに就職などで離郷されたご門徒さんが、ふるさとのお墓参りが不便で居住地の近郊に新たに墓地を求めて改葬したり、寺院で建碑された合祀墓や大谷本廟に納骨される事例が多いようです。組内でも最近合祀墓を新たに建碑されたり、建碑を検討されている寺院もあるようです。
今年、自坊の境内地にある経蔵を納骨堂に改修し、お墓の建碑以外の選択肢をとの思いで運用を開始しました。納骨堂を選んでくださるご門徒さんもおられ、末永く活用いただければと思います。
 拙寺のようにもともとお堂があれば改修費用も安価で済みますが、一から建設するとなると多額の費用がかかりますね。ある寺院では本堂の余間の畳に納骨壇が設置されていましたし、余間に直接骨壷を安置されている寺院も見受けました。そこで提案させていただいたのが後門(ごうもん)側から須弥壇に扉をつけて須弥壇の中に安置するという方法です。つまり須弥壇納骨という提案です。
納骨された参拝者は、内陣の真正面にある阿弥陀如来(御本尊)の下にお骨が安置されているので、参拝時は必ず本堂に上がらなくてはなりません。お寺の境内地などにお墓があっても本堂のご本尊にまず参拝される方はめったに見かけませんよね。ご本尊にもお墓にも参拝していただきたいのですが、須弥壇納骨であればそのことを解決してくれると思います。ご縁づくりを考えるとき、亡き人をご縁として仏縁に出遭えるきっかけとしてまずは本堂や境内地に足を向けていただく取り組みが最重要であると感じています。
専如ご門主は、「法統継承に際しての消息」に「本願念仏のご法義は、時代や社会が変化しても変わることはありませんが、ご法義の伝え方は、その変化につれてかわっていかねばならないでしょう。」とお示しくださいました。
 現代という時代、お寺に背を向けがちな方々にご法義をどう伝えていくのか、どうすればお寺に立ち寄っていただけるのか、阿弥陀如来の尊像を前にして素通りされないような工夫がまだまだ足りないのでしょうね?

衣奈西教寺の合葬墓