シリーズ 過疎問題を考える

ひかり108号記事
2019/7/1

シリーズ 過疎問題を考える
日高組の本願寺派寺院のなかで、海岸筋に立地する寺院は9割を超えています。当地域の海岸筋の小中学校が合併されたり、自宅の新築時に比較的交通や生活の利便性が高い土地を求めたりして、急速に集落の人口が減少し地域社会の活力が低下しつつあります。
人口の減少や自宅にお仏壇がない家庭が増加する中、寺院の護持運営、法座活動の維持も困難な状況になっている寺院も組内では存在しています。
お寺とのご縁が希薄になりつつある昨今、過疎問題に向き合いつつ、私たち一人ひとりがあらゆる法事などで次世代にお念仏の声を伝える努力を続ける必要があると言えましょう。
 
今回は過疎地域とは法律上どのような地域を指すのか確認しておきたいと思います。
 
①   過疎市町村 過疎地域自立促進特別措置法「以下過疎法という」第2条第1項及び第32条に該当する市町村を指し、人口要件、財政力要件ともに該当する市町村。(日高郡由良町が該当)
②   過疎地域とみなされる市町村  過疎地域市町村を含む合併による新市町村は、過疎地域市町村の要件に該当しなくても、過疎法施行規則に定める要件に該当する場合には過疎地域とみなされます。(過疎法第33条第1項)
③   過疎地域とみなされる区域のある市町村  過疎地域市町村を含む合併による新市町村は、過疎地域市町村の要件・過疎地域とみなされる市町村の要件ともに該当しない場合でも、その新市町村のうち合併前に過疎地域であった市町村の区域は過疎地域とみなされます。(過疎法第33条第2項)
これらの過疎地域市町村、過疎地域とみなされる市町村、過疎地域とみなされる区域は、過疎法により指定され過疎対策が講じられています。
 
 現在のところ私の住む日高町は分譲住宅やアパートの増加などにより近隣市町からの転入による人口増加がある県内でも数少ない市町村です。
過疎市町村には指定されておりませんが、前述の通り海岸筋に所在する寺院がほとんどで、現在あるいは今後において寺院護持などの運営にさまざまな問題が起こりうる状況となることは間違いのないことでしょう。
ご子息などが親と離れて生活される際には本願寺の免物のお仏壇(ミニ仏壇)を勧めたり、仏前結婚式や初参式などの案内を行ったりと、何らかの方法でお寺との関わりを継続させてゆくことで代々伝わってきたお念仏のみ教えが後々に相続できるものと思います。(楠原)
 

お仏壇のないご家庭でもご本尊をお迎えしましょう
仏前結婚式
初参りはお寺で