お地蔵さまのお話

【法話】「地蔵じまい」の作法 🌸 
長年見守ってくれたお地蔵さまをどう休ませるのが、一番優しい供養でしょうか?
妙願寺住職です。
今日は、多くの方が悩まれる「お地蔵さまとの別れ」について、心を込めてお話しさせていただきますね。
ご自宅の庭先や、町内の辻、お墓の片隅で、私たちを静かに見守ってくださったお地蔵さま。
様々な事情で「お遷(うつ)りいただく」、いわゆる「地蔵じまい」を考え始めたとき、多くの方が心を痛めます。
「ごみとして処分なんて、とてもできない…」
「罰が当たらないだろうか…」
長年手を合わせた仏さまを粗末にしたくない。このお地蔵さまへの優しいお心こそが、仏さまの教えに出遇う大切なご縁であることを、まずはお伝えしたいのです。🙏✨
1. 浄土真宗で「魂抜き」をしない理由の不思議 💡
「地蔵じまい」の際、他のお寺様では「閉眼供養(へいげんくよう)」や「魂抜き(たましいぬき)」をされるのが一般的です。これは、仏像やお墓に宿った魂を抜く儀式と考えられています。
ですが、私たち浄土真宗では、この「魂抜き」という言葉は使いません。代わりに**「遷仏(せんぶつ)法要」や「遷座(せんざ)法要」**というお勤めをいたします。
なぜでしょうか? 🌷
それは、浄土真宗の教えでは、亡くなった方はすぐに阿弥陀如来(あみだにょらい)のお力(本願力)によって、迷うことなくお浄土へ往生されていると考えるからです。故人さまの「魂」が、仏像やお位牌、お地蔵さまに留まっているという考えがないのですね。
ですから、お地蔵さまの像に「魂を込めたから抜く」という儀式は必要がないのです。
では、「遷仏法要」とは、いったい何のためのお勤めなのでしょうか?
それは、お地蔵さまという**「仏さまの姿」を通して、「阿弥陀さまの広大な慈悲の教え」**を私たちに伝えてくださったことに、**心から感謝を捧げ、「丁重にお遷りいただく」**ための儀式なのです。
決して「罰が当たる」といったことではありませんので、ご安心くださいね。感謝の心をもって、丁寧にお別れをすることが大切です。💖
2. お地蔵さまを「休ませる」ための3つの優しい選択肢 🌿
心を痛めず、お地蔵さまを粗末にしないための具体的な選択肢を3つご紹介します。
最も安心できる選択肢:お寺で永代安置(供養)
お地蔵さまの「地蔵じまい」を最も安心できる形で行う方法は、お寺で永代安置(供養)をお願いすることです。
長年風雨に耐え、地域の皆様を見守ってくださったお地蔵さまを、仏さまの教えが続く清らかな場所でお休みいただくという考え方です。
私ども妙願寺でも、宗派の枠を超えて、この「地蔵じまい」のお手伝いをしております。遠方にお住まいの方からもご相談をいただきます。
その流れは、
まず、お地蔵さまのお話を伺い、お見積もりをいたします。
住職がお地蔵さまのもとへ伺い、現地で遷仏法要(感謝のお勤め)を執り行います。🙏
法要後、丁重にお地蔵さまをお迎えし、妙願寺の境内にて永代にわたり大切にお祀りいたします。
お地蔵さまは、石像のため「お焚き上げ」はできません。ですので、このように仏縁の続く場所でお休みいただくことが、長年お世話になった感謝を伝える一番良い方法だと考えております。
 撤去を選ぶ場合の心構え:専門業者へ
事情によりお寺での安置が難しく、撤去・処分を選ぶ場合は、必ず遷仏法要を済ませてから行ってください。
遷仏法要を済ませたお地蔵さまは、私たち真宗の教えでは**「ただの石像」に戻ります。ですが、長年手を合わせた「仏さまの姿」**であったことに変わりはありません。
撤去を依頼する場合は、お地蔵さまを丁寧に扱ってくださる石材店や専門の業者に、その後の処分までお願いするのが安心です。決して「粗大ごみ」として扱うことのないよう、心からお願い申し上げます。💧
ご自身で解体・処分する難しさ
石像であるお地蔵さまは、自治体のルールで**「産業廃棄物」として扱われることがほとんどで、ご家庭の粗大ごみとして出すのは非常に難しいです。また、ご自身の手で解体するのも、技術的、そして心情的**にも大きな負担となるでしょう。
やはり、長年の感謝の気持ちを大切にするためにも、専門の業者かお寺にご相談されることをおすすめいたします。📞
3. 地蔵じまいで最も大切な「心の供養」とは 💛
地蔵じまいの手続きや方法ももちろん大切ですが、私が最も大切にしていただきたいのは、**「心の供養」**です。
なぜ私たちは、お地蔵さまを粗末に扱うことに、こんなにも心が痛むのでしょうか?
それは、あのお地蔵さまが、私たちに**「仏さまの慈悲」を教えてくださった大切な「ご縁の象徴」**だからです。
お地蔵さまは、私たちの苦しみを代受し、私たちの身近な場所で、**「あなたは一人ではないよ」「必ず救う阿弥陀さまの願いがあるよ」**と、常に語りかけてくださいました。
ですから、お地蔵さまとの別れは、「お地蔵さま、ありがとう」というご恩報謝(ごおんほうしゃ)の場であり、「その教えを受け取った私自身を、これから大切にして生きていきます」という誓いの場なのです。
遷仏法要やお別れの際には、ただ手を合わせるだけでなく、心の中で静かに**「南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)」**と称えてみてください。
「南無阿弥陀仏」とは、**「阿弥陀さま、ありがとうございます。すべておまかせいたします」**という、感謝の心そのものです。このお念仏こそが、お地蔵さまに伝わる、**最大の「心の供養」**となるでしょう。✨🙏
4. 住職からのメッセージとご案内 ✉️
地蔵じまいを通して、私たちは**「モノ」の終わりではなく、「教え」**の始まりに出遇うことができます。
お地蔵さまは、ご自身の役目を終えてお浄土へとお遷りになることで、改めて**「あなたを救う阿弥陀さまの願い」**へと私たちを導いてくださるのです。
和歌山・妙願寺は、遠方の方々の「地蔵じまい」が**「心の安心」**の助けとなることを願い、宗派を超えてお地蔵さまを大切にお預かりしております。
もし、今お一人で悩んでいらっしゃるなら、どうかご相談ください。お地蔵さまをめぐるあなたの優しいお心に、必ず光が差すよう、私も心からお念仏申し上げます。
南無阿弥陀仏